すべてのドラマーがインストールすべき、練習やライブで活躍するオススメ音楽アプリ5選

あらゆるモノゴトをスマホで済ませられてしまうこのご時世、音楽活動ひとつとっても例外ではなく、昔は大きく高価だった機材なんかも、スマホの無料アプリや、有料でもせいぜい数百円から数千円のアプリで同じようなことが出来てしまうという、なんとも便利で少し寂しい世の中になったなあ、とおじさん的には思うわけです。

今回はへっぽこドラマーであるところの自分が、練習やライブで大いに役立つであろうアプリを有料・無料問わずいろいろと紹介していきたいと思います。基本的には自分でめっちゃ使ってる、もしくは使ったことのあるアプリばかりなので、主観バッチリ入ってる前提でお読みいただければと思います。

無料なのに超絶高機能なメトロノームアプリ Smart Metronome & Tuner

SmartMetronome起動画面

スマートフォンにひとついれておけば、いざという時に何かと便利な(ドラマー的にね)メトロノームアプリは、数多くの無料アプリが存在するジャンルですが、自分が最終的に行き着いたのがこのアプリ。控えめに言って神以外の何ものでもない。控えないで言うなら、作者様になら抱かれたっていい、そんな感じの超絶高機能メトロノームアプリ。それがSmart Metronome & Tuner。

Smart Metronome & Tunerの特徴

Smart Metronome & Tunerのダウンロードページに書いてある機能紹介は以下のとおり。

  • その日の気分に合わせてお好きなカラーにセット
  • 選べる音色
  • 曲のテンポをセットしたセットリスト作成
  • チューニングメーター搭載(バロックピッチ対応)
  • ドラム or パーカッションサウンドによるドラムマシン
  • リピート機能により一定小節を段々速く
  • プログラム機能により途中でテンポや拍子が変わってもOK
  • 連続タイマーを装備、メニューごとの時間管理に
  • 練習時間を記録するLOG

かなりたくさん書いてあるものの、ものによっては他のメトロノームアプリにも搭載されている機能もありますが、Smart Metronome & Tunerは多機能に加えて、インターフェイスがシンプルで操作が直感的にできる、という大きな特徴があります。リズムマシンやデジタルメトロノームを使ったことがあるドラマーなら、おそらく説明されなくても、感覚ですぐに使えると思います。

以降で、この中から個人的にめちゃめちゃ活用している機能を2つ紹介します。

ドラムマシン機能で練習の幅が広がる

Smart Metronome & Tunerは、メトロノーム音の他にドラムやパーカッションの音色を使ったオリジナルのリズムパターンを打ち込むことができます。いわゆる典型的なリズムマシンのインターフェイスをしているのでとっつきやすく、鳴らしたい音をタップすることで簡単にパターンを作成できちゃいます。

SmartMetronome拍子設定
右下の「Custom」を押すと
SmartMetronomeパターンカスタム
リズムマシンになり、自分で好きなパターンを作成できます

ドラマー的な使い方としては、たとえばパーカッションのパターンを打ち込んで、それを聞きながら「パーカッションが入っている曲のドラムアプローチ」を試行錯誤したりする、なんてことも出来てしまいます。友達のいない自分的には、パーカッションの相棒としてもSmart Metronome & Tunerが大活躍しています。

テンポプログラム機能で変拍子やritにも対応

通常、メトロノームというものは、設定したテンポを延々と鳴らし続けるものですが、Smart Metronome & Tunerはテンポや拍子を演奏中に変更することができます。

SmartMetronomeメトロノーム画面
メイン画面で左上の「三」を押すと
SmartMetronomeソングリスト
Song List画面に移動。「+」で新規作成できます
SmartMetronomeソング設定

譜面のように練習番号ごとに拍子・小節数・テンポが設定できるので、使いようによっては変拍子の曲も練習できちゃいます。さらには「変化後」という項目で、設定した小節数でテンポいくつまで変化させるか、も設定できるので、たとえばテンポ120の曲で最後に2小節だけ「変化後:60」と設定しておけば、曲終わりのリタルダンドなんかも再現できちゃうというスグレモノです。

紹介した2つの機能以外にも、タイマー機能がついていたり、練習時間を記録してくれたりと、これひとつあればマジでメトロノームいらないんじゃないか、と思えてしまうレベルなので、ドラマーなら押さえておきたいアプリだと思います。ちなみに自分はつい最近広告ナシの有料版を購入しましたが、無料版の広告も全然気にならないレベルなので、お好きな方を使ってみてはいかがでしょうか。

490円で本当にいいのかDTMer必携のサンプラーアプリ Koala Sample‪r

KoalaSampler起動画面

Koala Samplerは本格的なソフトウェアサンプラーやハードウェアサンプラーと同レベルの機能が備わっており、充分実戦で活躍できるクオリティにも関わらず、490円というその破格値で話題になったアプリです。何ができるか、は以下の瀬戸弘司さんの動画を見ていただくのがわかりやすいと思います。

様々なガジェット系YouTuberの方々がレビューしているので、もはや説明不要なレベルで有名になってしまったアプリですが、ドラマー目線でもいろいろなことができると思います。

自分のドラム音をサンプリングできる

通常、ドラム音をサンプリングする場合、ハードウェアサンプラーやPCに加えマイクやケーブルが何本も必要になってくるため、かなりハードルが高い作業だと思うのですが、Koala Samplerを使えばスマホ一台で自分のドラム音も手軽に録音できちゃいます。

Koala Samplerのデフォルトの録音方法は「該当のパッドボタンを教えている間録音する」というモードになっているのですが、これを「タップで録音開始、停止する」モードに切り替えれば、自分のドラム音を録るのも簡単です。

Koalaメニュー
右上の「三」マークから「SETTINGS」を選び
Koala設定
デフォルトで「Hold to record」がオンになってるのをオフにします

好きなパッドボタンに好きな音を録音したら、前後の不要な無音部分を指でトリミングして、必要な部分だけを残しておきましょう。

Koalaエディット
上部の波形画面を指でドラッグして再生箇所を指定できます

試しに、スネア・キック・ハイハットと、口の周りを叩いた音をサンプリングして、適当にパターンを作ってみたのですが、なんとなくそれっぽくなっていると思います。おそらく曲の中に入ってしまえば、口パーカッションもコンガっぽく聞こえるんじゃないかと思います。

なお、録音したサンプルはエクスポートできるので、他の作曲アプリに使用したり、Dropboxなどを経由すればデスクトップPCのDAWでも使うことができるので、上記のように自分のドラム音を使った打ち込みで曲を作ることもできちゃいます。

もちろん、プロユースの環境で録音したサンプルとは違い、スマートフォンのマイクで録ったものなので、音質がめちゃめちゃ良い、というワケではありませんが、エフェクト等で音を加工すればそれなりのものは作れると思います。

MIDI機器と接続してライブで活用

2つ目の使い方としては、どちらかというとライブなどの実践向きなものなのですが、Koala Sample‪rは外部のMIDI機器と接続して音を鳴らすことができるので、MIDIキーボードやMIDIパッドとつなぐことで、ドラマーが手元で同期音源を制御したり、演奏中にサンプリング音を鳴らす、ということもできてしまうのです。

試しに、家に眠っていたKORGのnanoPAD2やAKAIのLPK25を接続してみたところ、何も設定せずとも音が出せました。

Koala SamplerはMIDIマップを設定することもできるので、サンプルやシーケンスの再生をMIDIキーボードやMIDIパッドの好きな場所に割り当てることで、ドラマー自身が制御できるようになり、ライブでの表現の幅もグッと広がるんじゃないかなと思います。

ただ、機材によってはもしかしたらつなげるだけじゃなくて、別途設定が必要だったり、そもそもKoala Samplerに対応していないものもあるかもしれないので、すべてのMIDI機器が同じように音が出せるわけではない可能性もあります。

ちなみに、上の動画ではiPhone11proとnanoPAD2を接続するのに、Lightning-USB Aの変換ケーブルとUSB A-mini USB Bのケーブルを使用していますが、iPhone7以降のiPhoneの場合はイヤホンジャックがないので、もしスピーカーやミキサー卓につないで音を出したい場合は、6s以前のiPhoneかAndroid端末を使う必要があります。

本来サンプラーという機材は、結構値も張りますし、持ち込むのもかさばって大変なので、タダでさえ機材の多いドラマーにはハードルが高いのですが、ポケットに入っているスマートフォンでそれが代替できてしまうのはかなりのメリットなんじゃないかと思います。

最後にひとつ注意点なんですが、Koala Sample‪rに限らずスマートフォンの音楽系アプリをライブで使う場合は、必ず「機内モード」にしておきましょう。そうしないと、ライブ演奏のいい所で例の着信音が流れて会場が爆笑の渦に包まれてしまうゾ。

リズムパターンとルーディメンツを網羅したドラム辞書 the Drum Dictionar‪y

tDdictionary起動画面

the Drum Dictionar‪yは、さまざまなジャンルのリズムパターンとルーディメンツを、譜面とドラム音で確認できる、言わばリズム辞典のような無料アプリです。

ラテンやジャズはもちろん、ロック系から民族音楽までいろんなジャンルのパターンがあるので、練習やリハーサル中に「あれ?○○ってどんなリズムだったっけ」となったとしても、このアプリがあればすぐに確認できちゃいます。

tDdictionaryジャンル選択
さまざまなジャンルを網羅
tDdictionaryルーディメンツ
ルーディメンツも揃っているので個人練習にも最適
tDdictionaryリズムパターン
再生ボタン横の割合で再生速度を変えられます

リズムパターンやルーディメンツは教則本なんかもたくさんあるので、もちろん本でもいいっちゃいいのですが、やっぱりドラマーはただでさえ荷物が多いので、本の代わりにアプリで済ませられるのであればそうしたいところですよね。

ただ、こういうアプリは、掲載されている各リズムのバリエーションが少ないこともあって、あくまで「参考にするもの」なのかな、と思います。そもそも、このとおり叩けるようになるのが目的ではないですし、ここからどうアレンジしたりオリジナリティを出すか、がドラムの醍醐味だと思うので、the Drum Dictionar‪yはやはりその名のとおり辞書以上でも以下でもないのかな、と個人的には思います。

まあでも、いずれにせよドラマーなら入れておきたいアプリには違いないですね。

説明不要の神ソングブックアプリ iReal Pro で読譜力とアドリブ力を鍛えよう

iRealPro起動画面

ドラマーに限らず、おそらく多くのミュージシャンが入れているであろう説明不要のiReal Proですが、一応知らない方のために簡単に説明すると、ユーザー投稿型のソングブックアプリで、国内外問わず多くのユーザーが作成したさまざまな曲のコード譜がダウンロードできるアプリとなっています。

iRealPro起動直後
左上の地球マークからダウンロードができます

また、伴奏機能もついており、アプリの伴奏に合わせて、自分のパートを演奏することができるので、個人練習においても最早欠かすことの出来ない最強のアプリだと思います。

伴奏の音色はそこまで多くなく、基本的にギター・ピアノ・ベース・ドラム程度で、あくまでも生演奏を意識した構成になっているのですが、ミキサーでドラムの音量を下げれば、ドラム用のマイナスワン演奏として使えるので、これを利用して、延々とジャズのアドリブやソロを練習したり、譜面が弱い人はそもそもの読譜力を鍛えるのにも持ってこいだと思います。

iRealPro譜面例
下メニューのミキサーアイコンで
iRealProミキサー
ドラムのボリュームを最小にすればマイナスワンに

今では1,000円以上するアプリなので、少し高く感じるかもしれませんが、一冊数千円の歌本を何冊も買うことを考えると、スマートフォンの容量が許す限り無限に曲を入れられるiReal Proは遥かにコスパが良いと思います。

持っておいて損はない!便利すぎるドラムチューニングアプリ Drumtune Pro

DrumtunePRO起動画面

ドラマーにとって、初心者と中級者の分かれ目になるのがチューニング。チューニングがしっかり出来る、出来ないでその後の上達の速度が全然違ってくるのではないかな、と個人的には思っています。チューニングを理解出来ていれば「音が鳴る」というのがどういうことなのか、が分かりますし、ひいてはそれが自分のフォームや打点へのこだわりにつながって来ますし、結果、良い音が出せるドラマーへの第一歩なんじゃないかな、と思っています。

とはいえ、チューニングは慣れるまでハードルが高いのも事実で、適当にチューニングしてしまうと、極悪な音になってしまうこともありますし、そもそも何が正解なのか、初めての人にはさっぱりな世界でもあります。

昔はとにかく情報が少なかったので、レッスンに通って教えてもらうか、自分でレンタルスタジオのドラムセットをいじくり回して試行錯誤するくらいしかなかったのですが、その後テンションウォッチやtune-botなるものが登場し、一気にチューニングがラクになったかと思いきや、今ではなんとアプリだけでチューニングが出来てしまうという、そんな時代になりました。

というわけで前置きが長くなりましたが、最後に紹介するのが、ドラム用チューニングアプリDrumtune PROです。980円というまあまあなお値段がする有料アプリなのですが、前述したテンションウォッチやtune-bot等のハードウェアチューナーが数千円することを考えると、それが1,000円以下で抑えられるので、買って損はないんじゃないかなと思います。

基本的な使い方は簡単で、スマートフォンを近づけてドラムのヘッドを叩くと、その周波数を表示してくれる、というもの。

DrumtunePROチューニング

これを各ラグの付近で行い、均等な周波数が出るように調整する、というのが基本的な使い方になります。

また、ドラムの種類(スネア、タム、キック)や口径、ラグの数を設定し保存できるので、自分の持っているドラムに最適な設定をすぐに呼び出すことができます。

DrumtunePROマイドラム選択
下メニューからMy Drumsを選択し、ADD DRUMを押す
DrumtunePROマイドラム設定
ドラムの種類や口径、ピッチなどを保存できます
DrumtunePROマイドラム編集
さらにはヘッドの種類なども選択可能

チューニングというものは、最終的には自分の耳で聞いてそれが気持ち良い音かどうか、が判断基準にはなってくるのですが、各部で同じ音程(周波数)になっているか、などはやはり数値化されていたほうが分かりやすいですし、試行錯誤の幅も広がると思うので、ガイドとして使う分には充分すぎるアプリだと思います。

まとめ・ドラマーはとにかくモノが多い

以上、5つのアプリを紹介しましたが、いかんせんドラマーというのは、こだわりが強くなればなるほど、持っていく機材が果てしなく多くなっていく人種なので、何を持っていき何を持っていかないか、の取捨選択がシビアに求められるパートなのですが、そういう意味では、デジタル周りのこういった機材たちが、スマートフォン一台で代用できるのは、なんとも便利な世の中になったなあと思う次第です。

今後もドラマー目線で役に立つアプリや面白いアプリがあれば、また紹介していきたいと思います。